シャルル王子殿下と、あの迷惑女のビグローに
ついて話す。
生徒会室にはまだ、俺達ふたりだけ。
クロエ嬢はまだだった。

シャルル殿下から噂でクロエ嬢が傷付いている だろと、言われて、胸がぎゅっとした。


俺は俺に振り向いてくれない君を、
お前には無関係だと突き放した王太子殿下を、
無意識に傷付けたかったのかもと、今更ながらに思い知らされたからだ。


3年前、主であるリシャール殿下に命じられた
一言が忘れられない。

『俺達の……クロエの事には、口も手も出すな』

あの頃、中等部3年生の殿下は婚約者への想いと良く出来た彼女への劣等感でぐちゃぐちゃになっていて、あろうことか、婚約者に向かって、
『本当に好きな人と、恋をしたい』なんて、バカな事を言い出した。