「買っちゃった……」
彼がハマっている、SFアクションゲームの新作。
どうにも人気シリーズらしく、こういう場合は開店時間前に向かわなければならないことだけは知っていた。
そして、かなり並ばせられることも。
それから家に帰って、ゲットしたゲームソフトをまさかこんな気持ちで見つめる日がくるなんて。
「で、結局そうなんのね」
「…はい」
「金づるちゃ…おっと間違えた、桜乃」
間違えてない、そのとおりです。
金づるでいいです、もう。
そうです私は金づるです。
休み明けの月曜日、スクールバッグのなかにしっかり忍び込ませたプレゼント。
を目にした友達は、慣れたもののように顔をうんざりとさせた。
「悲しくはなかったの?」
「え、かなしい…?」
「並んでるとき、買ってるとき。“なんでこんなことしてんだろ”って虚しくはならない?」
「………」
私の無言を肯定と受け取ったともちゃんは、プレゼント用に包装までしてもらったソレを見つめ、
「私はここまでできないわ」と、こぼす。