「……え、なに?」



その瞬間、はりつめていた私のなかの何かが、パリンッと音を立てたような気がした。


どうしてそんなに予期せぬ出来事を目の前にしたかのような反応をしているんだろう。

少しくらい想像していたなら、その反応にだけはならないはずなのに。



「…なに、って…、」


「桜乃(さくの)、そーいうキャラじゃないじゃん」



服着なよ───、


追い討ちのように放たれたその一言だけで、自分がどれだけはしたなくて馬鹿なことをしていたかと我に返った。


お家デートに誘われて、ふたりきり。

それなのに彼氏である勝吾(しょうご)くんはずっと携帯ゲーム機に夢中だった。

たまに手放したかと思えば、今度はスマートフォン。


だから私は、おもいきってみたんだ。


おもいきって服を脱いで、上半身キャミソール姿で彼の膝に股がった。