ぼくの話をしようと思う





…私は、あなたの彼女にとんでもないことをしました。

私はたしかに、神の啓示を受けました。

でも、それをうまく信者に伝えることができなかったのです。

神は、私にこうお告げくださいました。

『輝ける者の魂を私に捧げよ』

と。


魂、つまり、心です。

『輝ける者』に神の教えを説け、そうおっしゃったのです。

だから私は、その日にもっとも輝いていた人物―

水川繭さんの魂を、神に捧げようと思いました。


あの日の彼女は、素晴らしかった…。

たくさんの祝福に囲まれて、ダイヤモンドも霞んでしまうほどに輝いていた。

彼女の魂こそ、神に捧げるにふさわしかった。


それで、信者に彼女を連れてくるよう命じました。

私が直接、水川さんに神の教えを説くつもりでした。

そして彼女が神を崇拝したとき、魂は神に捧げられ、世界が救われるはずだったのです。


…ところが、信者の勘違いで、すべてが狂ってしまった。

「魂を捧げる」という神のお言葉を、「命を捧げる」と受け取ったのです。

…水川繭さんの殺害は、私の知らぬところで行われていました。

本当に、残念です…。