ぼくの話をしようと思う




中園さんは、芝生の上に大の字に寝転んで、空を仰いでた。



ぼくは中園さんの横でうつぶせになって、次はどう励まそうか考えてた。



そしたら、また視線を感じたんだ。



中園さんに出会ったときのような視線を。



なんかわかんないけど、ぼくはそういうのに敏感みたいでさ。



またかよ、と思って寝転んだまま上半身をひねって、後ろを向いた。



そし……あーっ、もう、ちょっと。



そうだよ、そうそう、でも今から話すから、あせらずにちゃんと聞いてよ。



…で。



振り向いた先にいたのは、着物を着た、品のいいおばあさんだった。



ちょっと背中が曲がってて、杖をついてた。



それがまた、穏やかな笑顔でさ。



いい天気の昼下がりの中、何もない広場の真ん中から、こっちを見てるんだ。