そのときの中園さんの顔、忘れられないな…。
哀愁って、ああいう顔のことをいうんだよ、きっと。
どんな演技派の役者でも、あの表情は出せないと思う。
とにかく見ていられなくて、必死で励ました。
きっと会えるよ、待とうよ、って。
さっきまでとは、完全に立場が逆だったよ。
でもさぁ…。
なんとかしてやりたくても、こればっかりはね。
長生きしているなら、それにこしたことはないし。
そうでなくても、奥さん早く死んでくれって頼むわけにもいかないだろ。
ぼくには、いつか必ず再会できますようにって祈ることしかできなくて、もどかしかったよ。
―…ところがさ。
奇跡が起こったんだ。



