ぼくの話をしようと思う




あ、それで、本屋なんだけどさ。



驚いたよ。



見たことがないタイトルの本ばかり。



かつて文豪と言われた小説家たちの、【最新作】なんてのが並んでるんだから。



中園さんに聞いたら、どれも、作家が亡くなってから、こっちの世界で書いたものなんだってね。



たしかに、映画だって新作があるんなら、本にだってあるよな。



まったく、すごいところだよ、天国って―



…あ、ごめん。



そうだね、話を戻そう。



本屋で映画雑誌を探そうと思ってさ。



でもとにかく広くて、どこに何の本があるのか、さっぱり見当つかないんだ。



そしたら、中園さんがまっしぐらに奥に歩いていった。



あわててついて行って、なにしてんのかなって後ろから覗き込んだら、さらにびっくりだった。