ぼくの話をしようと思う





死ぬ間際のことは、覚えてない。



ああもうすぐ死ぬんだなぁ、なんてことも思わなかったと思う。



だから、死んだことにも気づかなかった。



目が覚めたら、ここにいた。



最初は寝ぼけてて、何かの撮影かと思ったよ。



とくに、隣にキミがいるのを見たときはね。



だから…―



うわっ!



ちょっと、ねえ、突然大声出すのやめてもらえないかな…。



心臓に悪いよ。



キミが聞かせてっていうから、話してるんだけど…。



…わかってるなら、もう少しおとなしく聞いててくれよ。



だいたい、そんなに怒ることないじゃないか。



誰だって不審に思うよ、そんな羽の生えた女子高生みたいなのが突然目の前に現れたら。



撮影じゃないならコスプレかなーとか、思うでしょ。



だって今時、天使の羽なんて、そういう店に行けばいくらでも売ってるからね。



ええ?



いやいや、リアルな質感って言われても…。