ぼくの話をしようと思う





動機は単純だった。



その宗教団体の教祖がね、神の啓示を受けたんだってさ。



ほら、手紙に書いてあったっていう、あれ。



「輝く者の魂を神に捧げれば、人類は救われる」



っていう。



その啓示を受けた日が、偶然にも映画賞の受賞式だったんだ。



つまり、その受賞者の中で、いちばん輝いていた人物…―



それが、主演女優賞に選ばれた、彼女だった。






笑っちゃうだろ?



たったそれだけだよ。



そんなくだらない理由で、あの子はあんな目に遭ったんだ。



…え?



笑えない?



ああ、そうかもね。



いいんだよ、キミは笑えなくたって。



とにかくぼくは、それを聞いたとき、体中の血が煮えたぎったね。



それから本当に気が狂ったみたいに笑った。



人間ってのは怒りを通り越すと笑ってしまうんだっていうのを、身をもって知ったんだ。