甘く堕として、君に溺れて。





———彼が、本気だってこと。


ちゃんと、耳に入ってる。聞こえてる。

......分かってなんて、ないよ。分かんないよ。





「......知らないよ」


「困ったもんね」





知らない。分からない。

知らないし、分からない。


そんな薄っぺらい言葉で必死にごまかしている私は、バカだなあ、と本気で思う。


分からない、知らない。


叶がどう思って、あんな言葉を言っているのかなんて、知らない。

叶がどんなことを考えて、あんな言葉を言っているのかなんて、そんなのわからない。


分かり、たくもない。





「......」


「まあ、いずれ分かるでしょ」





そう言って、足を組みなおす真莉奈には悪いけど、———私は一生分からなくていい。


好き、なんて感情は、きっと私には理解できない。

神の領域だ。人外だ。





「わのかな、いいと思うわよ、私」


「え、わのかな......?」


「ほら、カプ(めい)てやつよ」


「無理無理無理無理。殺される殺されるガチで殺される」


「そんなことないわよ。だって『わのかな』だもの」


「マジでやめて殺されるからっ......」