甘く堕として、君に溺れて。



「何、やってるの......っ」


「何って、おしおき?」





そういう彼は、もう本当に。

ファンクラブがあるのも理解できるような、美しい顔をしていた。





「かーわい、」


「......う、」





手を口元に持ってきて、彼が放った一言。





「......好きだ」


「っ......無理、だからっ......!」





私は彼を突き飛ばした。


叶から、逃げ出した。



無、理だよっ......。

だって、だって......。



教室まで走って、真莉奈にとびついた。




「真莉奈ぁ~っ!」


「あら、お帰り。早かったわね。愛しの旦那様とは進展あった?」


「......あるわけないよっ!!」


「そう? 学校一、どころか世界一同士の美少年と美少女の恋愛よ?」





「何かありそうじゃない」、とそう言われる。


言われてもあり得ないものはあり得ないのだ。





「ないよぅ......あったらもう死ぬ」


「何が死因?」


「女の子たちの恨み」


「......あのねぇ」





真莉奈があきれた声を出す。