*・̩͙⋆





和乃(わの)、おはよう」





教室に踏み入ると同時、私の親友がそう声をかけてくる。





真莉奈(まりな)ぁ......」




弱弱しく名前を言って、
おはよう、と私は瀕死状態で告げた。





「今日も逃げてきたの?」


「逃げてないって......」





そうせざるを得ないだけだ。





「......うーん、美少女と学校一の男かあ......。なんというカップリング」


「カップリングとかマジでやめて......殺される」


「あんたねぇ......」





あきれた溜息をもらされる。


溝口(みぞぐち) 真莉奈。


私の親友は、クールで、だけどとっても優しい。


......んだけど......、問題は.....。





「双池さん」





名前を呼ばれる。


その声が誰のものかわかってしまって、私は硬直。


背筋が凍る。





「......な、何でしょう、藤堂くん......」





ああ、視線が痛い......。