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「和乃、おはよう」
教室に踏み入ると同時、私の親友がそう声をかけてくる。
「真莉奈ぁ......」
弱弱しく名前を言って、
おはよう、と私は瀕死状態で告げた。
「今日も逃げてきたの?」
「逃げてないって......」
そうせざるを得ないだけだ。
「......うーん、美少女と学校一の男かあ......。なんというカップリング」
「カップリングとかマジでやめて......殺される」
「あんたねぇ......」
あきれた溜息をもらされる。
溝口 真莉奈。
私の親友は、クールで、だけどとっても優しい。
......んだけど......、問題は.....。
「双池さん」
名前を呼ばれる。
その声が誰のものかわかってしまって、私は硬直。
背筋が凍る。
「......な、何でしょう、藤堂くん......」
ああ、視線が痛い......。

