「......か、かかかかかっ......! 叶、ど、わた、私......!?」
「......」
私は起きて一数える前に大きな声を上げた。
私の横、ではすやすやとまだ眠りの世界の人が一人。
藤堂 叶、私のお隣さん。
さらにもう一つ言うと、とてつもないイケメンで、まさに文武両道。なんでもそつなくこなすタイプ。学校の王子様的存在で、そんな彼は、暴走族の総長......らしくて。
まあ総長(?)くらい強かったなら、夜おかしいことしてる人たちを瞬殺できるのも納得、なんだけど。
今ある問題はそれじゃない。
......今ある問題はそれじゃないっ!
「わ......ゎ、私......ここで、寝た......?」
思わずそう独り言。
だって、この部屋昨日いた部屋だし。
昨日私が横たわってたベッドだし。
叶もここにいるし。
ここで寝たのは、もう確定......というか確実だよね。
......すごい迷惑かけてるなぁ、私......。
とにかく、ベッドから出ないと......。
ベッドから出ようと、体を動かすけど......あ、あれ? 動かないし、動けない......?
よくよく見たら、叶の腕が私の腰に回ってる。
......抱き枕代わり?
そう思えてきちゃう。

