へ......っ。


びっくりして、体をこわばらせる。

だけど、すぐにいつものことか、と体に張り詰めていた緊張を解いた。





「ぅ......く、苦しいっ」





意外と抱きしめる力が強い。

苦しくなって、そういうと、力が緩んだ。





「......なんで、夜、外いた?」


「......えっ」


「なんで夜、外いた」





声が低くなってきて、不機嫌なのが伝わってくる。

え......待って、何がやらかした?

怒られること、した......っけ......?





「よ、夜っ、外、いひゃっ、のは......」


「いたのは?」





噛んでしまって、顔が赤くなるのよりも早く、冷たい平坦な声が降ってくる。

叶をちらりと盗み見ると、あまりにも無表情だった。

きらきらと笑顔を振りまいている、超絶にモテまくるこの人が、——たとえ素の部分を知っていたとしても——無表情なのは怖すぎる。





「夜に、外......いたのは、夜に外にいるのが、好きだからで......」


「で?」


「そ、それに......夜に外出る案件、あるし......」


「案件?」


「え、っと......夜、外出てもいいけど、その代わり、いけないことをしてる人がいたら、捕まえて......って、約束......」