「あんただったんだ」


生徒会長からの冷たい声に我に返って顔を上げた。


見るとE組の生徒全員が由香里へ向けて悪意の含まれた笑みを浮かべている。


そのときようやくこれが仕組まれたことだと気がついた。


みんなで集金袋を探す時に由香里は席を離れた。


その間に机の横にかけてあったカバンに集金袋を入れられたのだ。


だけど、それを信じてくれる生徒はひとりもいなかった。


「泥棒」


「成績がよくても、性格は最悪」


「貧乏人なんじゃないの?」


そんな言葉が降り注ぎ、由香里は顔を上げていることができなくなった。


きつく下唇を噛み締めて俯いているしかない。


せめて先生がいてくれれば。


そう考えたけれど、この一件が先生の耳に入ることはなかった。


当然だ。