けれど由香里は妙な点に気がつくこともなく、集金袋探しに付き合うため自分の席から立ち上がったのだった。


ロッカーの中。


本棚の隙間。


あらゆる場所を探してみても集金袋は見つからず、ついには「みんなのカバンの中を確認してみよう」という提案がなされた。


誰が言い出したのは、由香里は今でも思い出すことができない。


だけどきっとその人物が、この出来事の提案者だったのではないかと思っている。


まずカバンを見せたのは生徒会長だった。


そこに入っているはずの集金袋はたしかになくなっている。


それから出席場暗号順にカバンを見せていき、最後に由香里の番がきた。


由香里は生徒たちに囲まれながら机の上にカバンを出した。


そして蓋をあけると……そこには紛失した集金袋が入っていたのだ。


それを見た瞬間由香里は目の前が真っ白になった。


どうしてここにこれが入っているの?


わからずに混乱し、倒れてしまいそうになる。