結は女子トイレの横の壁にもたれかかって明日香を待つことにした。


しかし、トイレに入った瞬間明日香の悲鳴が響き渡ってきたのだ。


「どうしたの!?」


慌ててトイレのドアを押し開けて中に入る。


そこには床に座り込んで震える明日香が、洗面台を指差していた。


顔面は蒼白で、口は金魚みたいにパクパクさせている。


「明日香?」


眉根を寄せながら明日香の指の先へと視線を移動させる。


その瞬間結は両手で自分の口を覆っていた。


そうしないと大きな悲鳴がほとばしってしまいそうだった。


そこには洗面台に体を寄りかかるようにして立っている由香里がいたのだ。


由香里の顔は水の溜まった洗面台の中へ突っ込まれていて、蛇口からは水が流れ出ている。


「由香里!?」


しばらく放心状態でその光景を見つめていた結だったが、ハッと我に返って声を上げた。


そして由香里の体を洗面台から引き離す。