大河は高校に入学する前からバスケットボールをしていて、その腕前は地区の子供チームでキャプテンを務めるほどだった。


将来はバスケット選手になれるかもしれないという声も、大人たちの間で囁かれていた。


そんな大河だったが、バスケットはあくまで趣味の範囲と考えていて、一番楽しいと感じるのは友人らと過ごす時間だった。


「次大河の番」


中学時代に学校で流行っていたのは人気アニメのカードゲームだった。


カードに描かれているキャラクターによって能力や戦闘値が代わり、勝敗が決定する。


そのためカードをより多く持っていた者が有利になる。


友人に促されて大河は手持ちのカードを机の上に出す。


相手のカードよりも少しだけ戦闘値が高い。


「なんだよ、そんな強いカード持ってたのか!」


友人は頭をかかえてわざとらしく崩れ落ちる。


「やった! 俺の勝ち~!」


大河は笑いながら卓上のカードをすべて手前に引き寄せる。