なんだったら弱い人間をイジメて金を奪い取ることもある。


だけど今回は事情が違った。


自分たちの縄張りに勝手に入り込んできて、そこで好き勝手しようというのだ。


黙って場所をあける気はなかった。


「残念だったな。悪いけどどっか別の場所を探してくれよ」


言うことなんてきかないと知りながら一旦は言葉で頼んでみる。


案の定哲也の言葉に素直に従う連中ではなかった。


赤髪の男が声をあげて笑ったかと思うと拳を突き出してきた。


毅はそれをよけて身を低くし、右拳を突き出す。


それは赤髪の男の腹部にめり込んだ。


赤髪が「ぐふっ」と低く唸って身を捩る。


しかし倒れはしなかった。