聞きながら哲也は立ち上がる。


毅も同じように立ち上がった。


すでににらみ合いは始まっていて、今にも拳が繰り出されそうな雰囲気だ。


「暇つぶしだよ。なぁ、今日は俺たちにこの場所譲ってくれねぇ?」


そう言った金髪男の後ろに背の小さな女子生徒がひとりいることに気がついた。


黒髪は肩まで伸びていて、クリッとした大きな目をした可愛い子だ。

その顔は青ざめていて目には涙が浮かんでいる。


とてもこいつらの仲間だとは思えなかった。


「なぁ? わかるだろ? 俺たちこれからお楽しみなんだよ」


赤い髪の毛をツンツンに立てた音がニヤついた笑みを浮かべる。


哲也と毅は同時に目を見交わせる。


なるほどそういうことか。


地元じゃすぐにバレるから、わざわざこんなところまで無理やり女を連れてきたってことか。


納得すると同時に哲也はバキバキと指を鳴らしていて。


普段なら女を助けたりはしない。


そんなの自分には関係ないことだからだ。