どれだけ叫んでも大河は結の元に戻ってきてくれなかった。


その場に立ちすくみ、次から次へと溢れてくる涙を止めることができない。


「置いていくぞ!」


そんな結に声をかけたのは毅だった。


毅と哲也のふたりはすでに歩きはじめている。


結は下唇を噛み締めてふたりを睨みつけた。


どうして生き残っているのがこのふたりなんだろう。


明日香や大河なら、結だってここまで悲観的になることもなかったのに。


結は重たい足を一歩踏み出す。


このまま座り込んでしまいたいという気持ちをどうにか奮い立たせてふたりの後を追いかけたのだった。