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「あれ、三島さんと鹿野くんか?」
中庭をぞろぞろ歩く中、校舎内を指差して立ち止まるのは男子グループの1人。
その周りにいた数人だけが気付いて同じように立ち止まる。
「あれ、ほんとだ」
「え2人で回ってる? あそこ仲良かったんだ?」
そう言いつつ、男子達はちらりと遊木の様子を窺うが、相変わらず無表情で何を考えているかは分からない。
ただじーっと、仲良く廊下を歩く宇紗子と鹿野を見つめる遊木。
「そういや鹿野って三島さんのこと好きだったもんな」
「え、まじ!?」
「俺1年の時同じクラスだったからさ、話聞いてたんだよなー」
「てかそれ勝手に言って良かったやつ?」
「あぁ、うん多分。仲良い奴らは皆知ってたし、鹿野も隠してはなかったから」
「へぇー、じゃあ鹿野くんすごいじゃん。進展させてるじゃん」
「いやほんとに。良かったなぁ鹿野~」
そんな男子達の会話を聞きながら、1人だけハラハラと焦る依田は何度も遊木の様子を窺ってしまう。
そこでようやく依田に気付いた遊木が「何?」と首を傾げた。
「いや……いいの? 遊木は」
「何が?」
「何がって、三島さんと鹿野くんが……ほら……」
「別にいいんじゃない?」
あっさりそんな風に話してしまう遊木に、依田は「えー…」っとショックを受ける。
遊木は三島さんのことなんとも思ってないのか?
あんなにちょっかいかけてたのに?
まじで遊木の気持ちが分かんねー……。
なんて悶々とする依田にまた首を傾げた遊木。
そしてもう一度宇紗子達に顔を向けて、ぽつりと言葉を漏らした。
「松本達と回るって言ってたのになー」

