遊木くんの様子がおかしい







*




「あれ、三島さんと鹿野くんか?」




中庭をぞろぞろ歩く中、校舎内を指差して立ち止まるのは男子グループの1人。

その周りにいた数人だけが気付いて同じように立ち止まる。




「あれ、ほんとだ」
「え2人で回ってる? あそこ仲良かったんだ?」




そう言いつつ、男子達はちらりと遊木の様子を窺うが、相変わらず無表情で何を考えているかは分からない。

ただじーっと、仲良く廊下を歩く宇紗子と鹿野を見つめる遊木。




「そういや鹿野って三島さんのこと好きだったもんな」

「え、まじ!?」

「俺1年の時同じクラスだったからさ、話聞いてたんだよなー」

「てかそれ勝手に言って良かったやつ?」

「あぁ、うん多分。仲良い奴らは皆知ってたし、鹿野も隠してはなかったから」

「へぇー、じゃあ鹿野くんすごいじゃん。進展させてるじゃん」

「いやほんとに。良かったなぁ鹿野~」




そんな男子達の会話を聞きながら、1人だけハラハラと焦る依田は何度も遊木の様子を窺ってしまう。


そこでようやく依田に気付いた遊木が「何?」と首を傾げた。




「いや……いいの? 遊木は」


「何が?」


「何がって、三島さんと鹿野くんが……ほら……」


「別にいいんじゃない?」




あっさりそんな風に話してしまう遊木に、依田は「えー…」っとショックを受ける。



遊木は三島さんのことなんとも思ってないのか?

あんなにちょっかいかけてたのに?


まじで遊木の気持ちが分かんねー……。



なんて悶々とする依田にまた首を傾げた遊木。

そしてもう一度宇紗子達に顔を向けて、ぽつりと言葉を漏らした。




「松本達と回るって言ってたのになー」