「だから、少しだけチャンスが欲しいというか……ほんと勝手なんだけど、真剣に考えてもらいたくて」
「……でも……」
私は遊木くんが好きだから。
考えても、気持ちには応えられない……。
「気持ちが変わらなくても、他に好きな人がいても、俺はそれを受け入れるよ。結果はどうなろうが、少しでも俺を意識してくれるだけでいいんだ」
申し訳なさそうで、真剣で、
縋るようなその真っ直ぐな気持ちに心が揺れる。
こんなに想ってくれてる人を、あっさり拒否してしまうのはすごく心苦しい。
気持ちは決まってるのに、このお願いを受け入れるのは残酷な気がするけど……。
鹿野くんがそこまで言うなら……
「……分かった」
「ほんとに!? わぁ、ありがとう!」
「でもっ……期待に応えられないかもだよ!?」
「うん、本当に大丈夫。俺の自己都合で、三島さんを困らせちゃってごめん。
元々、上手くいく自信なんてなくて、ずっとウジウジしてた俺が悪いから……」
だから本当にありがとう、と頭を下げる鹿野くん。
私も遊木くんが好きだけど、話せるだけで満足してなんにも努力なんてできてない……。
鹿野くんはすごいよ。
「じゃあ……このまま他見て回る? 鹿野くん、うちのお化け屋敷行きたいって言ってたよね」
「うん! ありがとう三島さん」
そうして私達は残りの文化祭を一緒に楽しむことにした。
なるべく鹿野くんと過ごして、話して、知っていこう。
真っ直ぐな鹿野くんと真剣に向き合うために。
だから少しの間、遊木くんのことはなるべく考えないようにしなきゃ。

