「ごめん、分かんない。鏡で見てくる?」
「うん…鞄に入ってるからちょっと行ってくる」
「了解〜」
私は恵美に受付を任せて真っ暗な教室へ入った。
スマホのライトを点けながら、クラスメイトの荷物等が置いてある裏側へ進み、自分の鞄を漁る。
えーと……あったあった。
ポーチから鏡を取り出して安心した、その時。
トン…っと私の肩を後ろから誰かに叩かれて、心臓が飛び跳ねたと同時に短い悲鳴を上げてしまった。
「…あっ、遊木くん…!?」
「おもろ、ビックリしすぎ〜」
私の後ろに立っていたのはケラケラ笑う遊木くんで。
どうやら私をわざと驚かしてきたみたいだ。
もう……まぁ、いいんだけど。
「あれ…? 遊木くん持ち場離れて大丈夫なの?」
「今は客来てないから大丈夫。そう言う三島は?」
「あ、私も恵美いるから多分大丈夫…。目にゴミが入ったから鏡取りに来たんだよね」
「あーね」
私は鏡を片手で構えて、ライトを付けたスマホをもう片方の手で構え始める。
あ、待ってこれじゃあ両手塞がってるじゃん…。
「俺が照らしとくよ」
不意にそう言った遊木くんは私のスマホを受け取って良い感じに照らしてくれる。
そんな遊木くんに感謝しつつ、私は手元の鏡を覗いて目の中を確認した。


