遊木くんの様子がおかしい




「…文化祭、いつもの男子グループで回るの?」




気合いで自然な笑みを浮かべる。


すると遊木くんは一瞬きょとんとしてから、「あー」と思い出すように声を漏らす。




「うん。大谷とか依田とかその他諸々」




ガーン…

即・撃沈…。


まぁ、分かってたことだけど……。




「い、いいね〜。どこ回るか決めてる?」


「んー多分ケンタローとか高木のクラスとか? 俺もあんま知んない」




へぇ……なるほど。

ほんとにそのへんの男子達って仲良いんだなぁ。



そして、今度はじっと私を見つめてくる遊木くん。

私は「え?」と聞こえるか聞こえないかくらいの声を漏らした。




「三島は? 誰と回んの」


「あ……えっと、恵美達だよ」




鹿野くんの名前は……別に言わなくてもいいよね。


色々聞かれても困るし…。




「へぇー、やっぱり仲良いな」


「……まあね」




平静を保ちながらずっと会話してるけど、

そろそろ限界かもしれない。



私は未だに掴まれたままの手に視線を移す。



……いつ離すんだろう。


ていうか、なんでずっと握ったままなの?



手汗がすごいし、さすがにもう聞いていいよね…?