文化祭の準備期間に入り、放課後に作業を始め出した1組。

私も恵美と向かい合って座りながら客寄せ用看板のデザインを考えていた。




「文化祭、一緒に回ったりしないの?」




ペンをクルクル回してそう尋ねてきた恵美。

私はうーんと唇を尖らせて首を振る。




「無理だよ…。だって絶対男子グループで回るじゃん」


「まぁそうだろうね」


「私も恵美いるし、わざわざ文化祭一緒に回らなくても同じクラスだから関わりはあるしさ」


「……うん、確かに」




ふと、少し気まずそうに顔を歪めた恵美に気付く。


あれ?




「恵美? なんかある?」


「……いやぁ、実は文化祭……私の彼氏も来る予定なんだよね」




えっ、そうなの!?




「だから回る時彼氏も一緒になると思うのよ。……いい?」


「そんなの全然大丈夫!」


「なんかごめん、勝手に決めてて」


「いやいや何言ってんの! ……あ、ていうか逆に私お邪魔だよね? 2人で回っていいよ?」


「ダメダメそんなの!! こっちが勝手に決めてんだから、宇紗子を1人になんてしないよ」




だから気遣わないで? と笑う恵美は再び作業に取り掛かった。



……いや気遣うよ。

だってせっかくの文化祭だし、カップルで過ごさせてあげたいじゃん。



あ……そうか、だから遊木くんと回らないのか気にしてたのか。

そういう話なら、なんとかして私も誰かと回れるようにしたいな。



…………どうしよう。