「へぇ〜いないんだ」
「良かったな遊木」
「てか今日聞いたって。すげぇタイムリー」
「たまたま俺も気になって聞いてたんだよな」
「依田って三島さんと席隣だったっけ」
「そうそう」
「ふーん意外と皆付き合ってないんだな〜」
「彼女欲しー」
それから話題は他へ移っていく。
ワイワイと会話が交わされている中、隣に座っていた遊木が依田にググッと体をもたれさせた。
「うぉい!? 重ぇよ遊木!」
「あらあら」
「“あらあら”じゃねーよ!」
なんとか遊木を押して引き剥がした依田。
遊木は変わらず無表情で、飲み干したペットボトルをクルクル回している。
「まったく…」
「……」
「あ、そういや三島さんって姉ちゃんいるらしいぞ」
「……へぇ。それも今日聞いたん?」
「そー。生物の時に席くっつけてたから文通してた」
「いいなぁ」
「三島さんって字綺麗だな」
「そうなんですよね」
「いやなんで遊木がドヤ顔してんだよ」
依田はあははと笑って遊木の背中を叩く。
遊木はそんな依田をじーっと見つめて、
再びググッと体をもたれさせた。
「だから重いって! やめんかい!」
「依田の身長がもう少し低くなりますように…」
「おいコラ! なんでだよ!!」
「俺は依田がこれ以上モテてしまわないようにしたいだけなんだ…」
「だからなんでだよ!?」
喚く依田を「まあまあ…」と宥める遊木。
そしてその様子に依田は更に怒るのだった。