鹿野くんはそんな遊木くん達のやり取りを眺めながら、感心したように声を漏らす。
「ほんと1組って仲良いなぁ」
それを聞いた遊木くんはグッと親指を立てて、
「まぁな。三島と俺は特に」
なんて
言って
しまう。
……って、何それ!?
“三島と俺は特に”とか……そんなの……
にやけるの不可避過ぎるっ。
「…そうなの?」
「遊木サン? 俺は……?」
「あ、大谷も仲良いよ」
「俺めっちゃついで感すごいな!?」
「…へぇ」
そこで、鹿野くんは私の意見を求めるように顔をこちらに向けてきた。
えーとえーと……私も何か言わなきゃ。
「せ、席も隣だしね!」
「そうなんだ。いいね」
「三島の隣って退屈しないから最高だよ」
「やべぇなコイツ。鹿野くんスルーしていいよ……コイツ三島さんのこと好き過ぎだから」
「えぇ?」
そんな男子達のやり取りを眺めつつ、私は全力で顔のにやけを抑え込んでいた。
……いやいや、ほんともう何コレ。
遊木くんって男子からそんな風(私のこと好きな感じ)に言われちゃってるの……?
そんで遊木くん自身も否定してないし、めっちゃ普通だし…。
そういうノリなのはさすがに分かるけど、だとしてもこんなの喜ばないわけが無い。
なんか、これはもうほんとに勘違いとかでもなくて
完全に仲良くなってるってことだよね、私達。
……あぁ……嬉しい…。
これからの学校生活がすごく彩る気がする。
遊木くんと同じクラスになれて、しかも隣の席になれて、
あの日筆箱を忘れて……ほんとに良かったかも。