体育の授業中。
「ほんと、全然落ち込んでなくて良かった」
「うん……関係が進展する前だったしね」
和也くんとのことは恵美に全部話した。
遊木くんの友達だったこととか、和也くんの二股(以上)常習犯なこととか。
ちなみに南ちゃんにも話したけど、めちゃくちゃ謝られちゃった。
南ちゃんは何も悪くないのに。
「遊木くんのおかげだね」
「……恵美もそう思う?」
「そりゃそうでしょ。遊木くんのおかげでしかない」
まぁ確かに。
私は向こう側でスパイクの練習をしてる男子群の方に顔を向ける。
すると、ちょうど遊木くんの番が回ってきて、彼は見事にスパイクを決めてみせた。
わぁ……!
「かっこいい…」
「え? あ、また遊木くん見てるし」
やれやれと言わんばかりの呆れた表情をする恵美。
私はそれに気付いて「えっ」と顔を赤くさせる。
「“また”……って」
「自覚なかったの? あんた今日しょっちゅう遊木くん目で追ってるよ」
……嘘。
やば、何それ死ぬほど恥ずかしい。
「……ゆ、遊木くんにはバレてないよね…?」
「さあ。まぁ遠くからだし大丈夫じゃない?」
「ほっ…」
私が胸を撫で下ろしていると、恵美がニヤッと口角を上げて顔を覗き込んできた。
「もう宇紗子さぁ、遊木くんのこと好きでしょ」
えっ。