「…は…話って…?」
「ん?」
「いや……話したかったって、何を?」
「あー別に。そのまんまの意味」
「??」
「“三島と話したい”ってだけ。
用とかはないよ」
え……そうなの?
いや、それこそどういうこと?
なんで私と話したいって思ってくれたの…?
いつもみたいに深い意味なんてないの?
なんて視線を遊木くんに送るけど
彼が何を考えてるのかはさっぱりだった。
「……」
「教室だと三島あんまり話してくれないじゃん」
「えっ……そんなことは…」
……あるかもしれない。
なんか、無駄に周りの目を気にしちゃうし。
お互い友達と一緒にいることが多いしね。
「……私、皆みたいに面白い話できないけど」
「え〜? 三島って特技“漫談”じゃなかった?」
「なっ、いつそんなこと言った!? なわけないでしょ!」
「あはは」
「〜〜もう…!」
悪戯っぽく笑う遊木くんを見ると、怒る気がしゅーんとしぼんでいく。
……猫みたいなこの笑顔が可愛すぎるんだ。
この満足そうな遊木くんに、まんまと私まで喜んでしまう。
「面白い話なんて求めてないよ。三島と話してるだけで面白いもん」
「……え」
「あと、表情もくるくる変わって面白い」
ラテを飲みながら、簡単にそんなことを言っちゃう。
……やばい、にやける。
なんで遊木くんにそう言ってもらえると、こんなにも嬉しいんだろう。
本人は至って平然としてるのに。
…人の気も知らないで!


