ひだまりで誓う桜色の愛

「お医者さんが言うには、『リハビリすれば運動できるようになりますよ』って。だけど……」



事故から数日が経過した平日の午後。

両親が同席する中、下された診断は全治6ヶ月。

受験生というのもあり、早期復帰できるよう、夏休みを使って集中的に治療を行うとのこと。


2ヶ月弱の入院生活は、来訪者が多かったためか、さほど退屈はしなかった。


千尋ちゃんをはじめとする後輩達、クラスメイト達から、花や千羽鶴をもらったり。

先生からは、『治療に専念できるように』と夏休みの宿題を免除してもらったり。

毎日誰かしらお見舞いに来てくれたおかげで、常に病室はにぎやかだった。


しかし──。



『あの……また走れるようになりますか?』

『ええ。リハビリすれば運動できるようになりますよ。ただ……残念ながら、陸上は……』



心に空いた大きな穴は、誰にも埋めることはできなかった。


涙が溢れ出すと、沢村くんは私の頭を自分の胸に押しつけて背中をトントンと叩き始めた。

泣き顔を見ないように気遣ってくれたんだなと思うと、さらに涙が溢れ出す。