ひだまりで誓う桜色の愛

「このことは内緒にしてくれる?」

「うーん、悩みますねぇ。実は僕、あそこの看護師さんと知り合いなんですよ」

「えええ⁉ そうなの⁉」

「はい。以前、よく脱走する患者さんがいると聞いていたんです。まさかここで出会うとは……」



感心したのもつかの間、人脈の広さを武器に追い詰めてきた。

焦ったおばあさんは「そこをなんとか……!」と必死に手を合わせている。


これが上流階級の権力……強い……!

味方だと最高だけど、敵に回したら最悪の相手かもしれない……。


結果、今後は無許可で外出しないと誓い、収束。

バスの時間も近づいていたため、戻るついでにおばあさんを病院まで送り届けた。



「沢村くんって、看護師さんとも親交があるんだね。昔からそうなの?」

「うん。跡継ぎだからさ」



病室を後にし、階段を下りる。



「小さい頃は、従業員参加のパーティーに出席して顔を覚えてもらってた」

「パーティー⁉ わぁ、いかにもお坊っちゃまって感じ! 会場はホテルが多いの?」

「人数によるかな。全体での集まりはホテルで、科だけとかならレストランを貸し切りしてる」