「そりゃ、トップで首席卒業だし。美宙だってこのままいけば志賀さんコース一直線でしょ」
「首席卒業、できるかな」
「何言ってんの、どのテストも、満点で三年に進級するときに複数のグループにマネージャー指名されてたのはどこの誰よ……けど、この学校恋愛禁止だからね。そこ気をつけなよ」
「分かってます」
 それは理解しているし、志賀さんは高校生なんて興味ないでしょ。それに、花ヶ崎が恋愛禁止だってことは知っているはずだもん。
「なら、よろしい……まぁ、私は応援するよ。何よりも、美宙の恋する乙女って感じの顔見られて得した気分! 午後からの仕事も頑張れそう!」
「何よ〜それ!」
「だって、私、午後から営業だもん……はぁ」
「営業?」
「うん。営業だよ〜〜聞いてよ、この前、頑張ってラジオ番組取れたのにさ! 酒井が文句言ってきたの! もっと、テレビ番組とってこいって言うんだよ、酷くない!?」


 ユミの愚痴大会を聞いていると、午後の五分前チャイムが鳴る時間になってしまったので私はユミを置いて教室から出た。
 教室を出ると運転手さんに連絡をしながら、彼らが待機しているであろう部屋に向かった。