「お嬢さん、こんにちわー」
「こんにちわユウキくん。お疲れ様」
 この人は結城(ゆうき)(かおる)くん。うちの事務所ではベテランで、赤ちゃんモデルの頃からいるのでもう一人の幼馴染。よく遊んでいたから私を『お嬢さん』と呼ぶ。

「シュンくんもお疲れ様」
「……ありがとうございます」
 メガネをかけているこの人は、瀬戸(せと)(しゅん)くんだ。とても無口だが、可愛らしいところもある男の子。瞬くんは、唯一、どこの事務所にも属していない子でこの学校に来たのはお姉さんが願書を送ってしまったと言っていた。まぁ、卒業したらうちに入所してもらうらしいけど……

 この四人は、R I N Gという四人組の男性アイドルグループでありアイドル科で成績トップをおさめている。

 ちなみに私は、マネージャー科の首席だ。二年次で首席をとった者は特権としてマネージメントしたいアイドルを選べるのだけど……美遥が指名したからだ。
 マネになりたいという人はたくさんいたが、美遥が『マネージャーは美宙しか認めない』と宣言したためR I N Gマネージャーになるしかなかった。


「俺らシャワー浴びてくるよー」
「うん。あと十五分で出るから急いでね」
「はーい」
 今日は、音楽番組の収録があるのだ。
「美遥は支度できたの?」
「完璧だわ」
「あっそ」
「生意気なやつだ」


 美遥と話していると、他のメンバーが身なりを整えてやってきた。すると、車の手配が出来たとRING専属運転手から連絡が来たのを見て私は彼らを連れて外へと出ると車まで歩いた。