吐き出してメルトハート



「ね、どうにかして止められない?驚かせたりとか、息止めるとか」


朝、驚いたけど止まらなかったし、息を止めてみても口の中にチョコレートが溜まっていくだけで、無駄だった。


それでも胡桃ちゃんはスマホで「しゃっくり 止める方法」と検索をかけている。



「胡桃ちゃん、今日はバレンタインだよ。好きな人にチョコ渡さなくていいの?」

「いいよ」

「でも、気になってる先輩に渡しにいくって前から言ってたじゃん。チョコ持ってきてるんでしょ。ひとりじゃ怖いなら一緒についてくよ」



「いい加減にしろこのバカ。そんなの今じゃなくてもいい。つーかどうでもいい。胡桃はあんたを、佐藤を失うことのほうがよっぽど怖いんだよ」



胡桃ちゃんはぶりっこだ。


本人いわく、昔は親も手を焼くほどに素行も口も悪かったのを、高校入学を機に矯正したんだとか。

そんな、徹底したぶりっこなのだと自称していた胡桃ちゃんのボロが剥がれつつあっても。



この10秒に1回は出るチョコレートしゃっくりは、
とうとう止まることはなかった。