「おい、しい……甘くて、……」


 一口、口に入れてしまったら口に運ぶ手は止まらない。止まらせることはできなかった。
 とても美味しくて。その度に、志侑さんのことが思い出されて涙が溢れる。

 志侑さんに会いたい。

 志侑さんに会って、あの日のことを謝りたい。嫌われても、許されないとしても、ただの自己満になってしまうかもしれないけど……


「志、侑さんっ……会いたいなっ」


 そう呟いた時、部屋のドアがトントンとノック音が聞こえて急いで返事をする。


「みよりにお客さんだけど、今いい?」

「えっ、今?」

「うん、どうする?」

「わかった、上がってもら――」


 私がそう言いかけて、すぐにドアが開いた。
 そこにいたのは、お姉ちゃんと一人男性。さっきまで私が会いたいって思っていた人……志侑さんだった。


「会いに、来ちゃった」