「みより! まーた、閉めっぱなしで! 体に悪いわよ」

「……別にいい」


 あれから私は、あの頃に逆戻りしたように引きこもり何もせずにボーッと過ごしている。
 大好きだった小説も上手く言葉が出てこなくて、何かを考えれば考えるほどに涙が出て来そうになって負のループにハマっていた。


「またそんなこと言って。そうだ、みよりにお土産」


 お姉ちゃんは部屋のテーブルにビニール袋を置いた。



「あんたの好きなプリン買ってきたから食べな」

「……これ」

「水無月さんだっけ、水無月さんも元気なかったよ。ちゃんと話したほうがいいんじゃない? ……って、私は思うけどね。あとは自分で決めなさい?」


 そう言ってお姉ちゃんは部屋から出て行った。ビニール袋の中を覗くと、プリンが二つ入っていてなんでだろうと不思議に思った。
 だけど、あとでお姉ちゃんに渡そうと思って私はビニール袋からプリンと付属のスプーンを取り出す。

 お馴染みのロゴのついたワックスペーパーを留めてあるタグ付きゴムを外し、ワックスペーパーとフタを外した。スプーンを包装袋から取り出してスプーンを持ったまま「いただきます」と呟いて手を合わせた。そしてプリンを一口、口に運んだ。