「せ、聖女だと!? それは本当か? ジャレド!」
「ジャレド! サクラを離せ!」


 カイルと司教様が同時に叫び、気づけば師匠はカイルに胸ぐらをつかまれていた。あわてて二人の間に入って止めようとしたけれど、私の身長が足りないから二人の睨み合いは一向に止まらない。


 それでも凄んでいるのはカイルだけで、師匠はヘラヘラと笑って余裕の表情だ。


「もう〜なんなの? カイルはサクラのこと忘れてるくせに、独占欲だけはあるんだから」
「くっ……! しかし! 気軽に女性にふれてはいけない!」
「はあ? カイルだってさっき、サクラのこと抱きしめてたじゃないか?」
「う……ぐう、しかし――」


 終わりそうにない不毛な言い争いにオロオロしていると、司教様が苛立ったように二人を引き剥がした。


「二人とも、そんなことは後にしてくれ! それより彼女が聖女だというのは事実なのか?」


 その言葉に師匠はクスッと笑い、また椅子に座った。