(それにしても、マントの裏にいろいろ隠し持って来てたんだ。これって、あらかじめ準備してくれたんだよね)


 昔、一度カイルのマントを着させてもらったことがある。その時は防御の魔術が施してあるただのマントで、今みたいに食料などは隠されてなかった。


「さ、できたぞ。パンと燻製肉だが、食べれそうか?」


 そういえば私は丸一日何も食べてない。差し出されたのは、美味しそうな白パンとベーコンのサンドイッチ。一気にお腹が空いてきて、うなずくよりも早く私のお腹がぐうっと鳴った。


「はは! 良かった。安心したら腹がへっただろう。ゆっくり食べるといい」


(……恥ずかしい。でも体力つけなきゃ、足手まといになっちゃう。よし! 食べよう! いただきま〜す)


 自然と食べ物の前で手を合わせた私を、カイルはまた不思議そうに見ている。そういえばこの「いただきます」も、食材や料理をしてくれた人に感謝の気持ちを伝えているんだよと言ったら、みんな感激して真似してくれたっけ。