(嬉しい! 話せないってこと、気づいてくれた!)


 私がすぐさまコクコクとうなずくと、カイルは隣にいた騎士に指示を出した。


「ケリー、魔力検査板を持ってこい」
「は!」


(あっ! カイルの部下のケリー補佐官だ! 彼も一緒に浄化の旅に行ったんだよね)


 でもやっぱりケリーさんも、私のことがわからないみたいだ。チラリと横目で私を見たけど、あの目は警戒している様子だった。


「とりあえず、侵入者の魔力を調べようと思います。王宮に登録してある魔力と合致するものがあれば、すぐに身元が割れますので」


 カイルが集まっている人たちにそう説明すると、その場にいる人たちはホッとしたように話し始めた。


「そうだな。国民は皆、登録しているのだから、すぐにどこの誰かわかるだろう」
「犯罪歴があれば、仲間もわかるのではないか?」
「それにしても転移じゃないとすれば、この部屋にどうやって……」


(思い出した! 私もアルフレッド殿下に言われて、名前や聖女だということを登録したんだった。これなら話せなくても、私のことをわかってもらえる!)


 安心すると、一気に力が抜けていく。私はホッと息を吐き、顔を上げた。あいかわらずカイルは私を警戒し睨んでいるけど、すぐにわかってもらえるはずだ。