「それじゃあ、エリックは師匠の作った魔法陣で私を呪って魔力も奪ったと……。きっと召喚の魔法陣もエリックに渡したのでは?」

「あ〜……そうかも。エリックは弟子というより、部屋の片付けとか掃除をしてもらってたから。魔力量は多いかなと思ったけど魔術のセンスはなかったよ?」


 師匠の部屋は散らかっている。そのうえ本人は魔術を完成させたらそれで満足するところがあるから、きっと魔法陣が盗まれていても気づかないだろう。


(まさか犯人が使った魔法陣が師匠のだったとは。証拠がないから罪にも問えないし、それに他にも盗まれているかもしれない……)


 さっきの屈辱にまみれた二人の顔を思い出すと、また危険な目に合いそうでゾッと寒気がしてくる。するとその不安を感じ取ったのか、カイルがそっと私の肩を抱き寄せジャレドに質問し始めた。