うそつきな唇に、キス





「……そうか、」

「………、はい、」




こくり、と頷くと、今度はちゃんと形が、重さがある手が、頭にぽとぽとと落ちてきた。

ひとつ、ふたつ。


どれも、真正面からじゃなく、わたしの横と、斜め前から。

ひとつはとても不器用な動作で。たぶん若サマと同じくらい、不慣れなもの。もうひとつは、まるで何度も何度も同じ動きを繰り返したことがあるような、そんな手慣れた仕草だった。


……な、んで、撫でられてるんだろう、わたし。



…………どうして、わたしはその疑問を、口にしないんだろ。




「……っ、そ、れなら!」




なんとも言い難い空気と一心に注がれる視線に耐えられず、想定していたよりも大きな声が喉の奥から飛び出した。




「琴!琴の髪は、どうなってるんですか?!それ、地毛じゃないですよねっ!」




びしいっと頭に乗っている手ごと振り払う勢いで琴の髪を指さすと、琴の顔が一瞬のうちに苦々しげな色を持った。




「……染められたんだよ、」

「え、だ、だれに、ですか?」

「……………………そこのにやにやしてる人に」




そう言い放った琴から、す、と視線を左に流した先。

琴の言葉通り、顔中に満面の笑みをたたえた睿霸が、えっへんと言わんばかりに胸を張っていた。