「…………、ぇ、ぃ、や、」
「だよなあ。グラデーションがかってきれいだし、いいと思うけどな、俺も」
「あ、やっパ側近くんもそう思う?」
ぱちくりと瞬きをしている間に進んでいくテンポのいい会話に、頭の中が〝なぜ???〟という疑問で埋め尽くされる。
効率重視、結果重視、実力至上主義。
少なくとも、こちら側とはそういうもので。
だから、それらに不利になるものは、徹底的に排除すべきで。そこに感情なんていう、〝きれい〟なんていう、一個人の感想なんて介在すべきではない、はず、なのに。
どうして。
「ま、結局はえるがどうしたいかだけどな」
「そーやネ、染めるんも染めんも、えるちゃんが決めたらええと思うよ」
わたしの意思を、組み込もうとするのだろうか。
どう言えばいいのかわからなくて、咄嗟に若サマへ視線を投げた、ら。
「……例え漆黒だろうと、白だろうと、何色だろうと。おそらく、えるの髪ならばおれは、〝きれい〟だと思う」
その呟きと共に落とされた視線を、わたしは、真正面から受け止めることが、なぜかできなかった。
そうして俯いて、背けて、はらりと垂れこぼれた一房の髪の毛が、言葉という傷だらけの手のひらで、やわく撫でられた気がした。
「わ、かさまが、そう言う、なら……、このままで、います、」
不格好で、辿々しく、ぶつ切りになっている紐を繋ぎ合わせたような言葉を紡いで、恐る恐る見上げ先にあった彼の人の顔は、とても、………とても、見たことのない、形容も出来ればしたくない、そんな顔をしていた。



