そのことをかいつまんで話すと、一瞬しん、とまるで空薬莢が転がった音を聞いたかのような沈黙が、教室を包んだ。
「え、と、……その、やっぱり目立ちますよね、やったりやられたりしてると。髪、染める?のも、できるんですよね、たぶん。もし気に触るようでしたら、染めましょうか」
なぜここで沈黙が落ちるのか、どうしてわたしの髪の話で3人の眉間に皺が寄るのか、どれもこれもわからなくて、少し前から考えていたことを言っただけ、なのに。
「いや別に染める必要ないだろ。えるが染めたいならしてやるけど」
「本人が気にしとらんのやッたらええんやない?珍シい色で僕は好きやし」
夜に溶け込めないことは、この世界においては不利であり直すべき短所でもある。
例えば、足音がうるさかったり。タバコを吸っていたり。夜と溶けにくい色を持っていたり。
そういうのは、矯正するべきであること、と、思っていた、けど……。
ちらり、と何も言わない若サマを見上げると、いつもの無表情で、いつものように視線を流して、声音も、口調も、態度も。そのすべてが、いつも通り、だった、の、に。
「……花火の余韻を残した夜の色で、きれいだと思うが」
そこには、飾り気など微塵もなく。
夜に不釣り合いな〝白〟がある髪を、そう形容して。
まるで、名付けた二文字の言葉を呼ぶような慣れ親しんだ音が、聞きなじみのない三文字の形をとった。



