うそつきな唇に、キス





「つ、次!次は若サマから、わたしに質問とかありますか?!」




このままでは埒があかないと思って、慌てて若サマに話を戻した。

もうこれ以上、話題が別方向にそれるのは避けたい。




「……………、……では、好きな動物は、いるか?」

「え?」




数秒斜め下を向いたあと、琴の憤慨がなかったように改めてわたしをその瞳に映して投げられた問いかけ。

それは、わたしが若サマに最初に問うた質問とまったく同じで。




「……え、と、特にいない、ですね」



そして、幸か不幸か、わたしの答えも、若サマのそれと全く同じものだった。




「あっ、でも、飼うなら躾られる犬とかが良いと思います」

「…………、そうか」

「………、はい、」




琴と睿霸のなんともいえない視線を浴びて、つい、と目を逸らした。

いや……、だって、あらためて考えてみても、好きな動物とか、いなかった、し。


……それに、好きなもの、が、わたしには、存在し得ない時間しか、過ごしてこなかった、から。




「……では、好きなスポーツはあるか?」

「………、それも、ない、ですね。でも、強いて言うならあまり体力を使わないスポーツが、どちらかというと好きです」




……もしかして、わたしにしたい質問が、思い浮かばなかった、のかな。

だから、わたしが若サマにした質問と全く同じものを、してるのかな。