今回に限って、若サマは無言だった。
いつもなら、ぎろりとふたりを睨んで黙らせるか、力づくで指を引き離してるのに。
……どうしたんだろう。されるがままになってる若サマなんて、らしくない。
両頬を引っ張られて多少変な顔になってはいるものの、持ち前の顔立ちで絶妙にカバーできているところはいつもの若サマだなあ、と思うけれど。少し、ほんの、すこしだけ。
なんだか、居心地が悪そう、な顔をしているように、見えて。
……?なんで若サマ、そんな顔、してるんだろ。
「………える、」
「あ、はい、」
そこで、今まで沈黙を保っていた若サマが、ようやく声を上げた。
ほぼ反射的に返事ができたけれど、デフォルトの無表情なのに両頬をびよんと引っ張られているせいで、お腹に力を入れていないと笑ってしまいそうだった。
「……ほら、次の質問、」
「え?」
一瞬、なんのことを言われているのかわからなかった。
若サマのおかしな顔と、おかしな状況で、脳が少し前の会話と結合しなくて。3秒ほどたっぷり間を置いてから、ハッと思い出した。
あっ、そうだ。わたし、若サマに好きなタイプの質問をしてたんだ。



