うそつきな唇に、キス






「ほい若くんチょいこっち向いてー」

「絶対爆笑させてやる……」

「……ふたりとも、そんなに意識して顔の形変えようとしなくても、常日頃からへんな顔してますよ」

「僕らなんで今唐突にえるちゃンからディスられたん?!」




わたしと若サマの質疑応答会そっちのけで、変顔披露大会に移行しようとしていた。

なぜかこの3人といると、本題からそれがちなんだよなあ……。どうしてだろう。



「若くんぜえっっったい目そらサんでや!!」

「………、」

「それじゃあいきますよ、喵様!」



刹那のしじま。

すう、と息を吸い込む音と同時、ふたりの顔が、なんとも形容し難く、ゆがんだ。


目はぐるんと回り白目を剥いたり、細い糸のような薄目になって。口はいーっと手で引っ張って舌を出していたり、むいっと突き出して分厚くなったりと、それぞれ違った変顔を披露していて。

それを見た若サマは心底呆れた顔をしていたけれど、なぜか、わたしは。


……ずくり、と。腹の奥と喉の奥、それに口角と目尻と眉頭、つまり表情筋が、なぜかむずむずし出した。




「……お前たちにはプライドや恥はないのか」

「ほォんなんろっちのかひわひにきたときにゃふへとるわ!」



ずくずく、むくむく。ざわざわ、ひりひり。

あるいは。



「ほーらほーら!ふらいどなんかのはめにほっちにひたわへやねーし!」

「……お前たちは一体何を、」

「──────うはっ、」




それら全部を、弾き出すかのような、爆発。

そのすべてが声となって、若サマの二の句を遮った。