うそつきな唇に、キス






あー、とかゔー、とか。

言葉としては全く意味のない、あるいは機能しない命綱かのように声を吐き出す睿霸の肩を、先程よりも少し強い力で支えなおした。




「安心してください、睿霸。今の言動で劇的にこれから何か変わる、というわけではありませんから」

「えっ、ホんま?!」

「はい。ただ、睿霸は若サマに叱られるかもしれませんが」

「……あ゛あ゛あ゛ーーーー、よねえ、怒らんわケないよなあ、あの若くんが……」




ぶつぶつどこか面倒そうに頭を抱える睿霸のつむじを、わたしは苦笑しながら見下ろした。


……そう。若サマにとって、睿霸にとって。

ふたりにとって、致命的な何かがあるわけではない。


─────少なくとも、あと数ヶ月は。




「……まあでも、フォローくらいは出来たらしますよ。今日はわたしに蹴られたり、これから若サマにふたつのことで怒られたりと、なんだか睿霸が散々なので」

「それ、普通散々にシた当人が言わんと思うんよな……」




はあ、とため息を落として、けれどその後どこか満足そうな微笑をこぼした睿霸は、やったら、と少し迷うように視線を揺らめかせてわたしを見下ろした。




「フォローはせんでもええけ、一個えるちゃんに相談……に近イ、提案があるんやけど、聞いてくれん?」

「相談に近い提案、ですか」

「ソ、別に強制っちゅーわけやないけ、相談に近い提案」




そんな前置きをして、その〝提案〟とやらをこぼした睿霸に、きょとりと目を丸くした。