「あん時聞けんやった、最後の質問、してモええ?」
肩を支えているからか、今は視線が合いやすい。
その影響で、こちらを窺うような、あるいは、砂浜に空いている小さな穴の底の底を覗き込むような眼差しに、わたしは両目を眇めて応えた。
「……約束、ですからね」
「よっシゃあ!いやあ、聞くタイミングすっかり逃したままえるちゃんにやられるかと思っとったけど安心したわあ、ほンま」
「まだ掘り返しますか……」
すいすい、とスマホを操作しながら嫌味たらしく満面の笑みを浮かべる睿霸に、きっとしばらくこのことで揶揄われるんだろう。
……まあ、それは別にいい。あまりにしつこかったら若サマに告げ口するか、たぶん手が出るから。
それより、今は。
若サマと己の嘘を天秤にかけた代償。事実のみを述べなければならない絶対的拘束という約束のもと、睿霸がわたしに問おうとした最後のこと。
「─────で、」
それは。
「こレ、えるちゃんで合っとる?」
突きつけられた画面。
片手におさまるほどの、小さな小さな四辺形に収蔵されている情報は、たぶん到底わたしには扱いきれず、けれどそこに、わたしが知っている、人ではないモノの顔を映し出した。



