うそつきな唇に、キス





「……まあでも、今のタイミングである意味良かッたわ」

「え?」




ふと、わたしに支え直された睿霸がぽつりと呟いた言葉に、顔を上げた。

その言葉の真意が、読めなかったから。



「なんのタイミングが良かったんですか?」

「若くんに、ちょうド今日の午後の授業サボろー言うとったけ」




せやなかったら、今頃体育館に方向転換シとるよ。

そんな睿霸の一言で、ようやく思い出した。


あ、そうだ。確か今日の午後の授業はまるまる体育館で運動する予定だったんだ。

でも。



「それはまたどうして……、」

「この前えるちゃんに約束したやろ、若くんのこと教えるテ」




え、いや、それは約束してもらったけれど。

だからって、なんで若サマがサボる必要が、……と、そこまで考えたところで、こちらをニヤニヤと見下ろしていた睿霸を軽く睨み上げた。




「それで若サマに直接聞けと……」

「そユことー。あ、安心してな、ちゃあんと若くんには話通しとルから」

「そこはいちばんの問題じゃないです……」